アルカリ電解水とセスキの違いは?特長と注意点を解説
本当は毎日掃除をしたいけれどなかなかやる気が出ない、掃除が面倒でほったらかしに…。
そんなとき、スプレータイプのクリーナーがあれば、汚れた部分にスプレーを吹きかけてさっと拭くだけで掃除できるので大変便利です。
中でもアルカリ電解水やセスキは、肌や環境にやさしく手軽に使えるクリーナーとしてSNSでも話題となり、自然由来の素材を使った掃除方法「ナチュラルクリーニング」の一つとして注目を集めています。
スーパーや雑貨店、100円ショップでも手軽に購入することができますが、掃除用品のコーナーを見ると同じような商品がたくさん並んでいます。
「アルカリ電解水とセスキはどちらを選べばいいのだろう?何が違うの?」
「どんな場所でも掃除できるの?」
など、商品を見ただけでは分からず購入を迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、様々な現場で役に立つ効果的な【除菌】【洗浄】に関するアドバイスをお届けする「AQUXIA-Technology」スタッフが、アルカリ電解水とセスキの違いや特長、注意点などについて解説いたします。
アルカリ電解水とは
アルカリ電解水とは、水を特殊な装置によって電気分解することで得られるアルカリ性のクリーナーです。強アルカリ電解水とも呼ばれます。
電気分解の際、分解を補助する物質として「電解剤(食塩または炭酸カリウム)」を利用しますが、主な成分は水になりますので、環境にもやさしく安全性が高いのが特長です。
セスキとは
「セスキ炭酸ソーダ」通称「セスキ」は、トロナセスキ鉱石という天然の鉱石から精製した天然のアルカリ性クリーナーです。セスキ炭酸ソーダはさらさらとした結晶状で、水に溶かして「セスキ水」を作って使用します。水に溶けやすく使いやすいため、スプレーボトルで吹きかける、浸け置きするなど様々な方法で掃除に活用できます。
アルカリ電解水と同様、合成洗剤などに含まれる合成界面活性剤が無添加で、環境や体に害のないことも大きなメリットの一つです。
アルカリ電解水とセスキの違い・特長
アルカリ電解水とセスキは、どちらもアルカリ性のクリーナーです。そのため、得意な汚れのタイプも同じで、油汚れや手垢・皮脂などの「酸性の汚れ」に強いという特長があります。同じ種類の性質をもっている2つのクリーナーですが、その違いはどこにあるのでしょうか。
汚れを落とすパワーが強いのはアルカリ電解水
アルカリ電解水とセスキは、汚れを落とすパワーが違います。洗浄力が強いのはアルカリ電解水です。この違いについて理解を深めるため、液体の性質について解説します。
液体の性質には、酸性や中性、アルカリ性といったものがあります。この性質を数値化したものが水素イオン指数『pH (「ペーハー」、「ピーエッチ」)』と呼ばれるもので、1~14の範囲で表されます。
・pH6未満:酸性
・pH6~8 :中性
・pH8以上:アルカリ性
pH値が大きいほど、アルカリ性の性質は強くなり、洗浄力は強力になります。
アルカリ性の中でもさらに2つに分けられます。pH8~11は「弱アルカリ性」、pH11以上は「強アルカリ性」です。セスキ炭酸ソーダはpH9.8に対し、アルカリ電解水はpH11~13です。
アルカリ電解水は、アルカリ性が強く、汚れを落とすパワーもより強力です。清掃用のアルカリ電解水が「強アルカリ電解水」と呼ばれるのはこの性質によるものです。
除菌ができるのはアルカリ電解水
アルカリ電解水独自のメリットは、「掃除+除菌」を同時に行えることです。pHの高さ(アルカリ性の強さ)がポイントで、pH11.5以上の強アルカリ電解水を使うことによって除菌効果を得られます。
アルカリ電解水を使った除菌の仕組みを簡単に解説します。
一般的な細菌やウイルスの最適生息pH範囲はおよそpH1~10の間ですが、アルカリ電解水で洗浄してpH11.5以上の環境を作り出すことによって微生物が死滅し、除菌することができます。この除菌効果によって、例えばインフルエンザウイルスやノロウイルスを不活化することができるなど、多くの細菌やウイルスに対して効果があることが証明されています。
同じアルカリ性のクリーナーでもpH8.2の重曹やpH9.8のセスキ炭酸ソーダは、残念ながら除菌効果はありません。
市販のアルカリ電解水のほとんどはpH12~13の範囲ですので、家具やドアノブ、共用スペースなど汚れと菌が付きやすい場所を掃除+除菌するのに有効です。
二度拭き不要なのはアルカリ電解水
重曹水やセスキ水は粉を水に溶かしているので、スプレー後に二度拭きしないと、粉が白く残ってしまうことがあります。一方、アルカリ電解水は水でできたクリーナーですので、乾くと何も残らず二度拭き不要です。
アルカリ電解水は掃除後の場所をペットや赤ちゃんが舐めても体に影響がないため、手軽さと安全性が両立しているところが人気を集めているポイントです。ただし、拭いた場所が乾く前に触れたり、口に入れたりすると危険ですので、赤ちゃんや小さいお子さんのいる方は注意が必要です。
コストパフォーマンスが高いのはセスキ
セスキは、アルカリ電解水に比べてコストパフォーマンスが高いことが特長です。その理由は、セスキ炭酸ソーダの粉を溶かしてセスキ水を自作できることにあります。500mlのスプレーボトルで比較すると、アルカリ電解水は1本に数百円かかりますが、自作したセスキスプレーは数円で済みます。
セスキ炭酸ソーダは水に溶けやすく、とても簡単にスプレー液を作ることができます。作り方は、水500mlを入れたスプレーボトルにセスキ炭酸ソーダを小さじ1~2入れて、粉が無くなるまでよく混ぜれば完成です。
セスキ炭酸ソーダは粉末だからこそ大量のセスキ水を作ることができますので、バケツで服を浸け置き洗いをする、キッチンのシンクいっぱいにセスキ水をためてコンロの五徳を浸け置き洗いするなど、頑固な汚れを落とすのに有効です。
ちなみにアルカリ電解水を作るためには特殊な生成装置が必要になり、高いコストがかかります。スプレー液が無くなった場合は、基本的に市販の詰め替え用を購入することになります。
関連記事⇒ 強アルカリ電解水の生成装置を購入前に知っておきたいこと
アルカリ電解水・セスキの使えない場所と注意点
使えない場所
アルカリ電解水とセスキはどちらもアルカリ性のクリーナーのため、使用できない場所は概ね共通しています。
まず、基本的に水に濡らしてはいけないところには使用できません。シルク製品や皮革製品などは、アルカリ性の性質がタンパク質を分解してしまうため、破損や変色の原因となってしまいます。
また、アルカリ性のものがアルミや銅などの鉄ではない金属類や白木(無垢材など無塗装の木材)に触れると、いわゆる”アルカリ焼け”が発生し、化学反応により黒く変色してしまった状態になります。
レンズがコーティングされたメガネや、テレビ、スマートフォンの画面などのクリアコーティングされた製品は、コーティングが取れる恐れがあります。
<使用できないもの>
・アルミニウム、銅、真鍮、貴金属等アルカリ性に反応し腐食する非鉄金属類
・皮革製品、白木、桐材、漆塗り、その他水液が浸み込む材質の物
・自動車等の塗装面、ニス塗りの製品、液晶画面、クリアーコーティング製品
※無印良品 アルカリ電解水クリーナー製品表示より
注意点
■肌荒れ・手荒れ
アルカリ性のクリーナーは手垢・皮脂の汚れをよく落とすことができる反面、長時間手に付着すると必要な皮脂までとってしまい、肌荒れや手荒れの原因になります。
肌荒れを防ぐために、使用後は手を水でよく洗い、ハンドクリームなどでケアしましょう。肌が弱い方や長時間利用する場合は、皮膚に付着しないようゴム手袋を使用してください。
■保存期間と保管方法
・アルカリ電解水
市販のアルカリ電解水は、使用期限が1年とされています。電気分解した水は時間が経つにつれてもとの水に戻ろうとする性質があり、時間が経つにつれてpH値が下がり洗浄力が落ちていきます。
洗浄剤として使用できないほど、極端に洗浄力が低下するということはありませんが、使用期限内に使い切って強力な洗浄力で清掃を行うのが良いでしょう。
・セスキ
セスキ水を作った場合、使用期限は2~3ヶ月が目安です。水自体が腐敗しますので、大量に作って長期間保存することはせず、期限内に使い切る量を作るようにしましょう。
セスキ炭酸ソーダの粉は乾燥すると固まってしまいますので、保存容器のジッパーやフタをしっかり閉めて保管することも大切です。
なお、アルカリ電解水、セスキともに保管の際は、直射日光を避けて冷暗所に保管してください。
まとめ
本記事では、アルカリ電解水とセスキの違いについて解説しました。
アルカリ電解水は、強力な洗浄力や同時に除菌もできる能力の高さをもっていますので、共用スペースの掃除やベビー用品の洗浄・除菌など様々なシーンで活躍します。
セスキはコストが安く、大量に作ることができるため、スプレーでの拭き掃除から浸け置きまで使い勝手よく手軽に掃除できるのが便利です。
汚れ具合や掃除したいものによって2つのクリーナーを選んで、ちょっとしたスキマ時間の掃除に活用してみませんか?