強アルカリ電解水の除菌効果は本当にあるのか?【アルコール・次亜塩素酸水との比較】
「アルカリ電解水って除菌効果あるの?」
「どんな菌に効くの?」
「アルコールや次亜塩素酸水に比べたらどうなの?」
強アルカリ電解水は除菌効果があります。それはph11.5以上の水素イオン濃度によるものです。ただし除菌するのに時間がかかる微生物や使用できない材質もありますので注意が必要です。
強アルカリ電解水の特性を知り、使用すれば効果的な除菌が可能です。例えば除菌と洗浄が同時にできるので洗浄の回数を減らせて手間を省くことができます。
他の除菌剤の特性と比較しながら強アルカリ電解水の除菌効果について深堀していきます。
強アルカリ電解水はなぜ除菌が出来るのか
強アルカリ電解水が除菌ができると聞いて、正直胡散臭いなぁと感じた方も多いかと思います。しかし、きちんと化学的な根拠があるのです。
pH(水素イオン濃度)の高さ
強アルカリ電解水は一般的に水素イオン濃度の値がpH11.5以上になります。このpH11.5という性質が多くの微生物が生息できない環境となるのです。一般的な細菌やウィルスは最適生息pH範囲がおよそ1~10となっており、強アルカリ電解水の中では30秒以内に死滅してしまいます。(一部例外あり)
細菌・ウィルスやそのエサである汚れ(有機物)を洗い落とす洗浄力
強アルカリ電解水は細菌やウィルスの成長要素である汚れつまり油脂分やタンパク質を乳化及び鹸化させるのです。
また水がマイナスの電気(電子)をもち、プラスの電気(負の電荷)をもつ汚れの成分と洗浄対象物に働きかけマイナスの電気を持たせることで、お互いに反発させ、汚れを洗浄対象物から離脱させるのです。
またそれにともない汚れに付着している細菌やウィルス自体も洗い流すのです。
アルコールと次亜塩素酸水との除菌力の比較
各除菌液がどのような微生物やウィルスに対して有効かまたは苦手かを説明をしていきます。
アルコールの除菌力
アルコールはウィルスや細菌の細胞膜を破壊し、細胞の機能を失わせることで除菌をします。その特長から一般的に広く使用されています。
主な特長としては下記のようになります。
①汚れ(有機物)が細菌やウィルスの周りにあっても効果が落ちない
②除菌スピードが速い
③多くの微生物やウィルスに対して効果がある
ただし、わずかながらに弱点もありまして、ノンエンペローブウィルスには効かないということです。ノンエンペローブウィルスとはノロウィルスやロタウィルスなどが該当します。
これらのウィルスは細胞に油の膜を持たない構造なので、アルコールでは破壊しにくいのです。
次亜塩素酸水の除菌力
次亜塩素酸水は細菌やウィルスを酸化させて破壊します。その特長から野菜の殺菌剤などに使われています。特長としては主に下記の通りになります。
①汚れ(有機物)と接触することで水になる
②多くの微生物やウィルスに対して効果がある
次亜塩素酸水の弱点としては、汚れ(有機物)と反応するとすぐに効力がなくなるのと、汚れ(有機物)を洗い落とすことが出来ないことになります。つまり除菌の効果を高めるためには、次亜塩素酸水を使用する前に洗浄が必要になってくるのです。
強アルカリ電解水の除菌力
pH(水素イオン濃度)で生物生息範囲外の環境を作り除菌します。その特長から清掃やクリーニングなどに使用されています。主な特長としては下記の通りになります。
①汚れ(有機物)を洗い流すことができる
②多くの微生物やウィルスに対して効果がある
強アルカリ電解水の弱点としては黄色ブドウ球菌に対して効きにくいことです。様々な機関が実験をしているのですが漬置きでおよそ15分ほど除菌するのにかかってしまいます。
強アルカリ電解水の使用方法と使用箇所
強アルカリ電解水での各掃除箇所への除菌方法をおおまかに説明します。除菌の基本として除菌対象物を汚れ(有機物)を落とすことが重要になりますが、強アルカリ電解水では汚れを落とすことと除菌することが同時にできるのです。
室内清掃
洗浄するところに直接スプレーをかけるか、布で強アルカリ電解水を浸み込ませてふいてください。スプレーをする場合、30秒ほど置いてから布で拭いてください。浸けておくことで 強アルカリ電解水が細菌やウィルスに接触する時間を長くし、除菌効果を高めます。
手指消毒
手に噴射し擦りこんでください。手指の汚れや油分が取れてヌメヌメするかと思いますが、それをハンカチやタオルで拭きとってください。
洗いもの
強アルカリ電解水をそのまま使用するか薄めて使用してください。そのまま流水で汚れを落とすのもよいですが、浸け置きを5分ほどすると除菌効果が高まります。
また洗剤の替わりにも使用することができ、クリーニングの場面でも使われています。
詳しくは⇒強アルカリ電解水で洗濯って可能?知っておくべき4つのメリットと使用法
強アルカリ電解水の使用上の注意
強アルカリ電解水は万能ですが、弱いところもあります。以下の弱点に注意して使用してください。
塩化ナトリウム含有のモノは金属に使用できない
強アルカリ電解水の種類の中には塩化ナトリウム水溶液を電気分解させたものがありますが、この種類の強アルカリ電解水を使用する場合は注意をしてください。
なぜなら塩は空気中の水分を集めて金属を酸化させるからです。つまりサビを進行させるのです。したがって金属部分に使用する場合は炭酸カリウム含有の強アルカリ電解水の方がよいです。
アルミ・真鍮などを長時間浸け置きしない
強アルカリはこれらの物質を変色させる性質があります。短い時間で洗浄するならば問題ありませんが、10分以上浸け置きする場合は変色する恐れがあるので目立たない箇所で試してから使用してください。
化学物質の含有率に注意
強アルカリ電解水は低い化学物質含有率が特長のひとつですが、逆に含有率が高いものは刺激性がありますので注意してください。通常強アルカリ電解水は約0.17%の塩化ナトリウム(水酸化カリウム)or炭酸カリウム(水酸化カリウム)が含まれています。
しかし販売しているものの中には含有率0.6%や1%のものもあり、そうなると刺激性が出てくるので気を付けてください。化学物質含有率0.2%以下のものを選ぶようにしましょう。
詳しくは⇒おすすめの強アルカリ電解水は?失敗しない選び方と注意点
まとめ
強アルカリ電解水は除菌効果があり洗浄と除菌を同時に行ってくれる優れものです。
ただし黄色ブドウ球菌を除菌する場合は、強アルカリ電解水のみだと時間がかかってしまうので、アルコールや次亜塩素酸水と併用するのがよいです。使い方はアルカリ電解水で洗浄・除菌してからアルコールや次亜塩素酸水をスプレーして拭く形になります。
また塩化ナトリウム含有のモノや化学物質含有率0.2%以上のものは使用できる範囲が限られてきますので気を付けましょう。
以上の注意点に注意して強アルカリ電解水を使い、効率的に洗浄と除菌を行いましょう。