いまさらだけど聞けない!?次亜塩素酸水と強アルカリ電解水の違い
「今さらだけどコロナウィルスが流行ってからよく聞くようになったけど、強アルカリ電解水と次亜塩素酸水って何が違うの?」
「どっちの方が細菌やウィルスに効くの? どっちがおススメなの?」
端的に言いますと次亜塩素酸水は除菌専門で強アルカリ電解水は洗浄と除菌の両方できます。
ただ除菌力については強アルカリ電解水も除菌力がありますが、単純な除菌力で言えば次亜塩素酸水の方が広範囲のウィルスに対して有効です。
こうしてみると除菌力がある次亜塩素酸水の方が優位に見えますが、状況によっては次亜塩素酸水をおススメすることはできません。このブログでは次亜塩素酸水と強アルカリ電解水の違いを中心に、次亜塩素酸水を一概におススメできない理由ついても解説していきたいと思います。
そもそも次亜塩素酸水とは?
水に塩化ナトリウム(いわゆる塩)を混ぜて電気分解してできた、「次亜塩素酸」を主な成分とする除菌水になります。下図の陽極側にできた水となります。
元々は食材の除菌に使用されていた除菌水で、除菌のしくみとしては細菌やウィルスを酸化させて除菌をします。ちなみに酸化とは、モノが酸素に触れることで劣化する現象です。身近ではサビた釘や変色したリンゴが該当します。
□細菌に対しての除菌のメカニズム
次亜塩素酸は分子サイズが小さく電気的に中性であるため、細菌の細胞の細胞壁に侵入し、内部の核酸などの細胞組織を直接酸化させることにより、強力な除菌力を発揮します。
□ウィルスに対しての除菌のメカニズム
細胞外側に脂質膜を持つエンベロープウィルスと脂質膜を持たないノンべロープウィルスに対しても、酸化させ除菌する力があります。
エンベロープウィルスに対しては脂質膜をウィルスを構造的に壊します。ノンエンベロープウィルスに対しては直接ウィルス本体に働きかけタンパク質膜や核酸を壊します。
□次亜塩素酸水が有効なウィルス
除菌力は有効塩素濃度よって変わってきますが、清掃や食材の除菌では約50ppmの次亜塩素酸水が使用されることが多いです。
次亜塩素酸水が有効なウィルスは下記の通りになります。
次亜塩素酸水が主に有効な細菌・ウィルス(条件:濃度57ppm、pH5.2)
サルモネラ菌、黒コウジカビ、MRSA、大腸菌、レンサ球菌、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、セレウス菌やボツリヌス菌などの芽胞菌
アルコールで除菌できないノロウィルス(ノンべロープウィルス)にも、強アルカリ電解水で除菌できない芽胞菌に対しても有効なのです。
そもそも強アルカリ電解水とは?
水に塩化ナトリウム(いわゆる塩)もしくは炭酸カリウムを混ぜて電気分解してできた、ph11.0以上のアルカリ性の水となります。ちなみに塩化ナトリウムを含んだ水で生成された強アルカリ電解水は、同時に酸性電解水も生成します。(下図参照)
□細菌・ウィルスに対しての除菌のメカニズム
高いph値(水素イオン濃度)によって高ph環境で生息できない細菌ウィルスや除菌します。
カビはph1~9で広い範囲で生息しますが、ph11.5の強アルカリの中では生息できません。また細菌の大部分は中性付近のpHで最も生息し、それ以外のphではほとんど生育が抑制されるのです。
□強アルカリ電解水が有効なウィルス
強アルカリ電解水は下記のような細菌・ウィルスに対して有効です。
強アルカリ電解水が主に有効な細菌・ウィルス(条件:ph12.5)
サルモネラ菌、黒コウジカビ、MRSA、大腸菌、レンサ球菌、インフルエンザウイルス、ノロウイルスなど
強アルカリ電解水もアルコールに対して有効なノロウィルスに対して有効になりますが、芽胞菌には無効です。
□洗浄力のメカニズム
強アルカリ電解水は水の表面張力を低くする性質があり、目に見えない汚れの隙間に入っていくことが可能です。
また強アルカリ電解水はマイナスの電気をもっており、これらの酸性の性質のあるプラスの電気を持った汚れ(有機物・カビ・微生物)と反発して、汚れを浮かして取る仕組みなのです。
さらに強アルカリ電解水について知りたい方はこちら⇒強アルカリ電解水とは?意外に知られてない特徴とメリット・デメリット
洗浄の重要性
除菌力だけで判断すると次亜塩素酸水のみを使って除菌しようと考える方もいるかと思いますが、少しお待ちください。
除菌する前に、洗浄することがかなり重要なのです。
□洗浄しないで、いきなり除菌をすると細菌がウヨウヨ
洗浄が甘く、目に見えない細かい汚れが残っていると、かえって細菌やウィルスを増やす結果となるのです。
汚れを落とさないで次亜塩素酸水で除菌をすると汚れの表面の細菌・ウィルスのみが死にます。その死骸をエサに残った細菌やウィルスが生き残るのです。
実際に工場などで次亜塩酸水で除菌を続けていて、なぜか細菌が減らないといった工場もありましたが、洗浄をよく行っていなかった言う例もあります。
□洗浄後の除菌で高い洗浄レベルを
あらかじめ洗浄をしっかりしておくと汚れと一緒に90%以上の細菌とウィルスも荒い流されます。したがって細菌やウィルスが減った状態で除菌をすると効果大なのです。
次亜塩素酸水、強アルカリ電解水での効果的な除菌のしかた
基本的には洗浄⇒除菌というような手順で除菌をしてください。強アルカリ電解水は洗浄と除菌を同時に行ってくれるので前洗浄はいりません。
手洗い
次亜塩素酸水:せっけんなどで手洗い後、たっぷりスプレーして擦りこむ
強アルカリ電解水:手にスプレーして擦りこむ
家具・床など
次亜塩素酸水:中性洗剤を浸み込ませた布で拭いた後、表面にスプレーして乾いた布で拭く
強アルカリ電解水:表面にスプレーして30秒ほど置き乾いた布で乾拭きする
調理器具
次亜塩素酸水:洗浄後、桶に溜めた次亜塩素酸水に5分ほど浸して、水洗浄し乾拭きする
強アルカリ電解水:桶に溜めた強アルカリ電解水に5分ほど浸して乾拭きする
家電製品
次亜塩素酸水:中性洗剤を浸み込ませた布で拭き、次亜塩素酸水を浸み込ませた布で拭いて、乾いた布で拭く
強アルカリ電解水:強アルカリ電解水を浸み込ませた布で拭いて、乾いた布で拭く
次亜塩素酸水で除菌の前洗浄として、せっけん水や強アルカリ電解水でも問題ありません。
次亜塩素酸水、強アルカリ電解水使用上の注意
次亜塩素酸水は酸化プロセスで除菌をしているため、悪い菌だけではなく正常な細胞や材質も破壊します。
金属や衣類の材質などは使いすぎると傷める可能性ありますので、汚れが激しいところ(嘔吐物)を洗浄したとあとなどの除菌に使用するとよいでしょう。
強アルカリ電解水は使用しすぎると洗浄力で手の皮膚を保護している皮脂や角質も洗い落とすので注意しましょう。肌荒れの原因となります。
また塩化ナトリウム(塩)含有のモノは金属をサビさせる作用がありますので使用しないほうがよいです。
日常の洗浄・除菌は強アルカリ電解水で、いざというときの除菌は次亜塩酸水で
次亜塩素酸水は除菌のみの目的で使用するのが望ましいです。また使用するまえに中性洗剤水やアルカリ電解水などで洗浄することも大事です。
強アルカリ電解水は日常生活の洗浄・除菌目的で使用しましょう。
使用用途によりますが、私の場合は基本的には強アルカリ電解水を使用して、年数回のまな板や調理器具の除菌や嘔吐物を清掃後の除菌などは次亜塩素酸水を使用します。
皆さんも目的に合わせて次亜塩素酸水と強アルカリ電解水を使い分けましょう。