強アルカリ電解水の生成装置を購入前に知っておきたいこと
強アルカリ電解水生成装置の購入を考えているんだけど、どういう仕様のものがあって、どういうものを買ったらいいだろうか?
何かおすすめはある?どのくらい値段がかかるの?
私は洗浄機器設備のメーカーの洗浄・除菌アドバイザーとして、法人向けに強アルカリ電解水の除菌と洗浄について助言を行っています。現場に合った装置の選定、もしくは場合によっては強アルカリ電解水以外の洗浄水もおすすめしています。
詳細は>>このサイトについて
強アルカリ電解水の生成装置の種類は主に2つ
塩化ナトリウム(いわゆる塩)を電気分解の補助剤として使用しているものと、炭酸カリウムを使用しているものがあります。
炭酸カリウムは聞きなれない物質ですが、ラーメン屋さん等で麺をほぐす水(かんすい)につかわれている物質となります。
また、生成装置も電解補助剤が塩化ナトリウムものと炭酸カリウムのもので違うものになります。それぞれの装置について簡単に説明します。
□電解補助剤 塩化ナトリウム
生成装置自体は二槽式になっており、隔膜を挟んで陽極側(+)と陰極側(-)にある食塩水が電気分解され、陽極側(+)に酸性水(次亜塩素酸水)が生成され、陰極側(-)に強アルカリ電解水が生成されます。(下図参照)
□電解補助剤 炭酸カリウム
生成装置は陽極側(+)に炭酸カリウム水を循環させ、陰極側(-)にミネラル物質を取り除いた純水を流し入れて、電流を流して電気分解をさせます。
そうすると陰極側(-)のみに強アルカリ電解水が生成され、陽極側(+)には酸性水は生成されません。(下図参照)
〇生成装置の取り扱い
「生成される原理はわかったけど、隔膜とか化学記号とかでてきたなんだか取り扱いが難しそう・・・・。大丈夫なの?」
確かに中には専門家がいないと取扱いできない除菌・洗浄水などがありますが、強アルカリ電解水については初心者のかたでも問題ありません。
原理は少し難しそうですが、ちゃんとしたメーカーから購入し、説明書や営業の方の取り扱い説明どおりにすれば簡単に取り扱いができるでしょう。
強いて言うなら消耗品の交換が場合によっては、装置自体をメーカーに見てもらう必要があるので、そこはちょっと面倒くさいかもしれません。
コスト重視なら塩化ナトリウム、機能性重視なら炭酸カリウム
洗浄・除菌力については、どちらもそこまで変わりません。その根拠となるpHの値はどちらともだいたいpH 11.5~13.1の範囲になります。
ただそれぞれ特性があるので解説していきます。
□コスト重視の塩化ナトリウム含有の強アルカリ電解水
生成装置は安い小型のものだと13万円ぐらいのものからあります。ランニングコストはメーカーによって様々ですが、消耗品を含めpH11.5ぐらいの強アルカリ電解水が1Lあたりだいたい1円~6円ぐらいになります。
特に生成装置自体は炭酸カリウムのものよりは圧倒的に安いです。
ただし、使用できる範囲が少し狭いのです。
それは金属で使うことを避けなければいけないのです。塩化ナトリウム(食塩)自体が水分を集めてサビさせる作用があるのです。
また、酸性水(次亜塩素酸水)が強アルカリ電解水と同時に生成されてしまうので、酸性水がいらない人にとっては少々使い勝手が悪いかもしれません。
□機能性重視なら炭酸カリウム含有の強アルカリ電解水
炭酸カリウム含有の強アルカリ電解水の最大の特長のひとつは金属も洗浄・除菌をできるということでしょう。
炭酸カリウム含有の強アルカリ電解水はサビさせる物質を含んでないこと。また、少し難しい話になりますが酸化還元電位が-であることに由来します。
ですので、自動車部品や精密機器の洗浄にも使用されています。
ただ最大のネックとなるのが購入コストになるかと思います。小型の安いものでも50万円ほどになり、大型のタンクつきのものになると500万円前後になります。
ランニングコストについてはpH12.5の強アルカリ電解水を生成する場合は1Lあたり約15円~19円で一見すごく高そうに見えます。が、10倍に薄めてもpH11.5なので、この場合1Lあたり約1.5円~1.9円になります。
〇特徴まとめ
それぞれのメリットとデメリットを踏まえて現場にあった生成装置を購入をすればよいかなと思います。各種類の特徴をまとめておきましたので参考にしてください。
強アルカリ電解水生成装置を購入前にするべきこと
メーカーとしてはすぐに購入してほしい!と言いたいところですが、購入を検討している方には購入前に以下の行動をしていただきたいのです。(もう行ってるのであれば問題はありませんが。。。。)
〇強アルカリ電解水を試しに使用してみる
まず、いきなり高額な生成装置を購入するのではなく強アルカリ電解水自体を買って、現場に合っているかどうか試しに使用していただきたいのです。強アルカリ電解水は1Lや10Lの単位で販売されています。
以前、アルミ容器を洗浄したいという方がいたので強アルカリ電解水を渡したのですが、試しに使用してみたところ、長時間の浸け置きでの洗浄だったので、アルミが変色したということがありました。
ですので、現場の洗浄・除菌の環境にあっているかどうかは確認したほうが良いです。
〇生成装置を販売しているメーカー2、3社の話を聞く
高価格の製品なので、相見積もりを取る方は多いかと思われますが、単純に導入するときの価格で決めていただきたくないのです。
どの高額製品にも言えることかもしれませんが特に以下のことに着目していただきたいのです。
・メリットだけはなく、きちんとデメリットも伝えているか
・初期導入コストだけではなく、消耗品の価格も説明しているか
(1Lあたりのコストをだいたいでいいので算出してもらう)
まず、デメリットを伝えることについては、メーカーとして伝えなくてはいけないことです。
例えば塩化ナトリウム含有の強アルカリ電解水の生成装置は機種によっては塩素ガスを発生しやすいものもあり(主に低価格もの)それを伝えなく、現場で換気をしなかったために労働災害になった事例があります。
つぎに安い生成装置に飛びついたものの、消耗品についての説明がなく、あとから凄いお金がかかったという事例がありました。結局その企業は新しく違うメーカーの強アルカリ電解水の生成装置を購入していました。
単純な表面上のコストで購入しないように、消耗品については遠慮なくメーカーに突っ込んでください。信頼できるメーカーさんもしくは営業さんを見つけ、よい強アルカリ電解水生成装置を見つけましょう。
弊社でも炭酸カリウムを電解剤として生成される強アルカリ電解水の生成装置を取り扱っています。興味のある方はこちらも参考にしていただければと思います。