洗浄・除菌アドバイザーがおススメする、保育園でのおもちゃの消毒方法3つ
先日テレビを見ていたら、某保育園の除菌対策について報道がされていました。子供たちに感染しないようにこまめにアルコールを吹きかけてこまめに消毒作業を行っている様子です。
しかし、こまめに消毒していたので保育士さんの手が荒れ、おもちゃも劣化していました。このようなケースは特殊ではないかと思います。消毒に関する問題を抱えている保育園の先生は多いのではないのでしょうか?
それでは、どのようにしたら効率的なおもちゃの消毒ができるのか?さっそく見ていきましょう。
おもちゃについた目に見えない汚れを落とす必要があります
おもちゃに食べカスや手アカが付いている状態で消毒を行うと、消毒液がかかった汚れ表面の細菌やウィルスは死にますが、汚れの中の細菌やウィルスは死なずに生き残ります。
その“生き残った細菌やウィルス”が“死んだ細菌やウィルス”の死骸を食べて、かえって増殖するのです。
つまり消毒する前に汚れを落とす作業つまり洗浄が必要なのです。それでは洗浄作業を含めた効果的な消毒方法を紹介していきます。
効果的な消毒方法
①中性洗剤水+次亜塩素酸水
中性洗剤水でおもちゃを洗浄してから次亜塩素酸水で消毒(除菌)をする方法です。中性洗剤水は水の表面張力を小さくし、目に見えない細かい汚れを洗い落とします。
洗剤水は汚れをきちんと洗い流すのと同時に90%以上の細菌やウィルスも洗い流すのです。したがって次亜塩酸水は補助的に消毒をする形となるのです。
効果的な使い方としては……
- 中性洗剤水を含めた布で拭く もしくは 中性洗剤を含んだスポンジで洗う
- 乾拭きをする
- 次亜塩素酸水を含めた布で拭く もしくは 直接スプレーをする
- 乾拭きする
ポイントとしては洗剤水で洗浄したあとにきちんと乾拭きすることです。
水滴がついている状態だと次亜塩素酸水の濃度が低くなり効果がなくなるのです。ちなみに濃度は50ppmぐらいのものがよいでしょう。
②強アルカリ電解水
洗浄と除菌が同時にできるのが最大の特長で、2度拭きの必要がなくなります。
強アルカリ電解水も水の表面張力を落とす効果があり、細かい汚れを洗い流してくれます。またpH11.5以上の強いアルカリ性でウィルスや細菌を除菌します。
微生物には適正な生息範囲があり、大概の微生物はpH11.5以上の環境下では生きていけないのです。(一部、例外あり)
したがって、効果的な使い方としては・・・・
- 強アルカリ電解水を含めた布で拭く もしくは 直接スプレーをする
- 乾拭きをする
注意点としては強アルカリ電解水の種類によって、手袋をすることをおすすめします。塩化ナトリウム(いわゆる塩)が電解の補助として使用されているものは手袋をはめて使用してください。手が荒れる恐れがあります。
③ノンアルコール除菌シート
どうしても時間がない時に、拭いて洗浄と除菌ができる優れものです。除菌シートに“ベンザルコニウムクロリド”などの成分は除菌効果もあります。ただし1回サッと拭くだけでは実はあまり除菌の効果がないのです。
2回、3回と拭くと洗浄効果も高まり、大部分の細菌を除菌することができるのです。(埼玉消費生活センター実験参照: https://www.pref.saitama.lg.jp/b0304/syouhintest/jyokin02.html)
使い方としては・・・・
- 全体を3回ほど拭く
- 陰干しをする
重要なのが陰干しをさせるということなのです。例えば木製のおもちゃは非常に水気に弱いモノとなっています。乾燥させないと、後で水ジミがおもちゃについてしまいます。
アルコールはおもちゃの除菌にあまりおすすめしません。
アルコールは基本的に消毒効果もありますが、モノを溶かす溶剤の機能もあります。塗装を溶かしたり、おもちゃの材質である木やプラスチックを変形させる作用があるのです。
下記画像は某施設でおもちゃをアルコールで、消毒を3カ月ほど続けたものになります。
ですので、アルコールでのおもちゃの消毒、時に木製おもちゃに関してはあまりお勧めしません。
いかがでしたでしょうか?確実におもちゃの菌を減らすためには洗浄が大事だということもわかっていただけたかなと思います。洗浄を行うと約9割以上の除菌は終了です。場面に応じた方法でおもちゃの消毒・除菌を行っていきましょう。