カット野菜、塩素殺菌で細菌が大増殖!?
お客さんからの依頼で最近よく塩素系殺菌の文献を読んでいるのですが、そこで大変衝撃的な実験結果の記載があるものを発見しました。
次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸水などの塩素系殺菌水でカット野菜を殺菌処理するとかえって菌が増殖しやすくなるという事実です。
ちなみにこの文献(茨城県工業技術センター研究報告 第24号)の著者は「塩素殺菌によって、キャベツがダメージを受けてしまうために元々持っていた抗菌力が失われる」とい結論づけています。
その根拠としての実験結果が下記のようになります。実験はキャベツ - 半割 - 水洗 - カット - 水洗 - 殺菌(塩素処理) - 水洗 - 脱水 - 包装 - 貯蔵の工程で行い、殺菌処理を無処理・10分処理・20分処理をしています。
1メモリが増えるごとに細菌数が10倍になります。3℃貯蔵の場合は無処理の場合、細菌の数に変化がなく、10分処理や20分処理のものは細菌の数が減っています。
しかし、驚くことに10℃貯蔵の場合は貯蔵3日目に無処理も処理してあるキャベツも細菌数が同じになり、4日目には処理してある方が細菌が多くなります。
20℃貯蔵の場合は、2日目には処理してある方が細菌数が多くなり、4日目には10分処理は無処理の10倍、20分処理は無処理の100倍となってしまいます。
3℃はよく冷えている冷蔵庫ぐらいの温度で、10℃は野菜室ぐらいの温度なのです。カット野菜は野菜室ではなくて冷蔵庫で保管した方がいいのですが、冷蔵庫を開閉したり、また買い物したあと運ばれる過程があるので細菌数の増殖を防ぐのは難しいかもしれません。
ここは思い切って塩素系の処理をやめるのも一つの方法となります。超音波振動の機械を投入して水だけで洗浄したり、強アルカリ電解水を投入してみるのを検討してみるのがよいでしょう。